こんにちは!かさけんです。
僕はTwitterで2021年4月から図解を用いて毎日心リハ関連のツイートを投稿しています。
今回この記事では、「心リハの知識を深めよう!」という目的で、6月にツイートした3つについてもう少し詳しく解説していきたいと思います。
- 心不全の主な症状まとめ(起座呼吸)
- 不整脈が血行動態に与える影響
- 貧血による心不全増悪
上記内容に興味のある方や、心リハの知識を深めたい方におすすめの内容になっています。
同じシリーズで「Bendopnea(ベンドプニア)とは?」という記事もあります。
よければ合わせてご覧ください。
はじめまして!
ハートリハブログのかさけんとはるです。
ご訪問ありがとうございます。
このブログは「心リハをたくさんの人に知ってもらいたい!」を
目的に夫婦で協力して作成しています。
急性期総合病院で心リハをメインに理学療法士として働いている。
心リハを始めて7年、心リハ指導士の資格取得をして5年。
2020年に心不全療養指導士の資格を取得。
こよなく心臓を愛している。はるの夫。
記事の主な作成者。
看護師で混合病棟に6年在籍していた。かさけんの妻。
記事の編集やブログ運営をしている。
心不全の主な症状まとめ
心不全には様々な症状があります。
その中でも心不全に特異的で、多くの心不全患者が経験すると言われている4つの症状をまとめたツイートです。
- 起座呼吸
- 発作性夜間呼吸困難
- 末梢冷感(チアノーゼ)
- 頸静脈怒張
この4つは心不全に特異的な症状ですが、心不全患者のうっ血の身体所見として起座呼吸と頸静脈怒張は特に注目すべき症状だと思います。
頸静脈怒張については別の記事でまとめる予定ですので、ここでは起座呼吸を少し掘り下げようと思います。
・起坐呼吸
心不全は心拍出量の低下を代償するために体液量が増加し、前負荷や後負荷を増やして心拍出量を維持する代償機構が働きます。
その結果として静水圧が上昇し、下腿浮腫や肺うっ血などの症状が出現します。
肺うっ血が進行すると安静時にも呼吸困難感を呈して入院加療が必要となります。
一般的な呼吸困難感は臥位になると軽減することが多いですが、呼吸困難感が座位より臥位で増強することを「起座呼吸」と言い、心不全に特徴的な症状です。
座位では重力の影響で血液は下肢側に貯留します。
しかし臥位になると重力の影響がなくなるため、下肢に貯留していた血液が全て心臓に戻ってくるため心負荷が増加し、肺うっ血が増強して呼吸困難感を呈します。
起座呼吸は心不全増悪で入院した患者さんの68.5%に認めたと報告があります。
「横になって寝れますか?」と患者さんに質問して臥位で睡眠が取れているのであればまだ肺うっ血がそこまで進行していないと考える事ができますが、臥位で呼吸困難感が増強して睡眠が取れなくなればすぐに受診するよう指導する事が重要です。
不整脈が血行動態に与える影響
このツイートは臨床現場でよく遭遇する不整脈が血行動態に与える影響についてまとめています。
心房細動は80歳以上の高齢者の10%以上が発症していると言われる頻度の高い不整脈の1つです。
この心房細動が頻脈になった頻脈性心房細動は臨床現場でよく遭遇する心電図です。
心室細動や心室頻拍といった致死的不整脈が各臓器への血流を低下させることは容易に想像できますが、頻脈性心房細動が各臓器の血流減少率は非常に高いことが分かります。
これは心房収縮がなくなることと、頻脈になることで拡張期が短縮するために心拍出量が低下するために各臓器への血流が低下すると考えられます。
洞調律から頻脈性心房細動になるだけで血行動態が破綻する症例も少なくありません。
自覚症状がないからといって経過観察にするのではなく全身状態を確認する事が重要です。
貧血による心不全増悪
最後は貧血に関するツイートです。
貧血は高齢者に起こりやすく、特に加齢に伴いその頻度は上昇します。
心不全患者では鉄欠乏性貧血、消化管出血による貧血だけでなく腎性貧血、体液貯留による血液希釈に伴う貧血などにも注意が必要です。
慢性心不全患者の57%に貧血を認めたと報告もあり、貧血は心不全再入院のリスクを増大させると言われています。
酸素運搬量DO2(mL/分)は1分間に運搬される酸素の量
動脈血酸素含有量CaO2(mL/dL)は血液100ml中に含まれる酸素の量のことです。
酸素運搬量DO2
=心拍出量(L/分)×動脈血酸素含有量CaO2(mL/dL)×10
ヘモグロビンに結合および血液中に溶解した酸素量の和
動脈血酸素含有量CaO2
=(1.34×ヘモグロビン(g/dL)×動脈血酸素飽和度)+(0.003×動脈血酸素分圧)
動脈血中に溶解した酸素量はヘモグロビンで酸素量と比較して非常に小さいため、動脈血液酸素含有量CaO2=1.34×ヘモグロビン×動脈血酸素飽和度といえます。
つまり、
酸素運搬量DO2=心拍出量×1.34×ヘモグロビン×動脈血酸素飽和度×10
と考えられます。
この式を見てわかることは全身への酸素運搬に関わる因子は
- 心拍出量
- ヘモグロビン
- 酸素化(=ヘモグロビン酸素飽和度SaO2)
ヘモグロビンが低下した状態で全身に送る酸素運搬量を一定に保とうとするのであれば、心拍出量を増加させる必要があります。
また肺うっ血などで酸素飽和度が低下した状態であればさらに心拍出量を増加させる必要があります。
貧血の状態で過労や感染などさらなる心負荷がかかると、心不全が増悪する可能性もあるため心不全患者の貧血の評価は重要です。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
2021年6月の反応が良かったツイートを「心リハの知識を深めよう」という目的で詳しく解説しました。
心臓リハビリテーションを行う上で知っておいたほうが良い知識や、疑問に感じることが多い項目について今後もまとめていきたいと思います。
twitterでも心リハを行うにあたり必要な知識や、最新の知見などについて発信していますので興味があればフォローよろしくお願いします。
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