【心リハ最新情報】心リハ学会2022に参加して得た学び

かさけん

こんにちは。かさけんです。
今年も心臓リハビリテーション学会学術集会に参加してきました。
 
学会に参加して感じたことや僕が考える心リハの動向、最近のトピックスについてまとめてみました。

かさけん

実際に学会に参加された方だけでなく、心リハには携わっているけど学会にはまだ参加したことがない方にも興味をもっていただける内容になっていると思います。

こんな方におすすめ
  • 心リハに関する最新情報を知りたい方
  • 心リハ学会に興味がある方
  • 心リハについて知識を深めたい方
この記事でわかること
  • 回復期リハビリテーション病院での心リハについて
  • 腫瘍循環器リハビリテーションについて
目次

第28回心リハ学会で興味深かった内容

2022年6月11日、12日に第28回日本心臓リハビリテーション学会学術集会が開催されました。
僕は心リハに携わるようになってから、毎年参加し今年で8年連続の参加です。

今年の開催場所は沖縄!僕はオンラインで参加しました。
現地参加が約1000人、オンラインでの参加が4000人だったようです。

2022年4月の診療報酬改定で回復期リハ病院での心臓リハビリテーションの算定が可能となったことが心リハ関連の一番のトピックスだと思います。

今回は僕が個人的に興味のあった下記2点の内容についてまとめていきたいと思います。

  • 回復期リハ病院での心リハについて
  • 腫瘍循環器リハビリテーションについて

まずは、回復期リハ病院での心リハについてまとめました。

回復期リハビリテーション病院での心リハについて

令和4年度診療報酬改定の概要より引用

2022年4月の診療報酬改定で回復期リハビリテーションを要する状態に「急性心筋梗塞、狭心症発作、その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」が加わり、回復期リハ病院で心リハを実施することが可能となりました。

まずは、回復期リハ病院で心リハが算定可能になった背景について僕の考えをまとめてみました。

回復期リハ病院で心リハの算定可能になった背景について

2022年4月の診療報酬改定にて、回復期リハ入りテーション病院で心臓リハビリテーションが算定可能になった背景についてまとめたオリジナル画像

心不全は急激に症状が出現し入院を要す場合だけでなく、数か月前から症状が出ていたという方も少なくありません。また、もともと身体機能が低い患者さんが心不全の治療による数日の安静によって身体機能が更に低下してしまう事も少なくありません。

そのような中で、短い入院日数だと身体機能が低下したまま退院を余儀なくされるケースもあります。

そこで急性期の治療は終えたけれど、リハビリによって身体機能の回復が見込めるような場合、回復期リハ病院でリハビリを行い、心疾患患者さんの身体機能を向上させることが重要だと認識されたということだと思います。

厚生労働省の過去のデータ(2019年12月の「回復期リハビリテーション病棟の現状と課題に関する調査報告書」)を用いて、診療報酬改定前の回復期リハ病院での心リハ実施率について下記にまとめました。

回復期リハビリテーション病院の入院患者の疾患別グラフ(整形外科・脳血管・廃用症候群)、廃用症候群のグラフ(肺炎・循環器疾患・開心術を含む外科術後)

診療報酬改定前までは廃用症候群として循環器疾患の患者のリハビリを行っていたようです。

上記図のグラフ(廃用症候群の内訳)からわかるように、回復期リハ病院の入院患者の中で循環器疾患の患者はごくわずかしか入院していなかったという事が分かります。

また、回復期リハ病院で心リハの算定が可能である施設2019年度で20.4%2020年度が25.3%とかなり少ないことが分かります。

かさけん

2022年の診療報酬改定を受けて回復期リハビリテーション病院で心臓リハビリテーションの算定がどのように増加していくのか興味深いです。

この回復期リハ病院で心リハ実施の妨げになっている要因の1つとして施設基準があります。

回復期リハ病院で心リハ普及を妨げる要因について

心リハ施設基準①
  • 循環器科または心臓血管外科の医師が心大血管リハビリテーションを実施している時間帯において常時勤務しており、心大血管リハビリテーションの経験を有する常勤医師が1名以上勤務していることリハ実施時間に常勤かつ専任医師1名以上勤務していること
  • 心臓リハビリテーションの経験を有する専従の理学療法士及び専従看護師が合わせて2名以上勤務していること又は専従の理学療法士もしくは専従の看護師がいずれか一方が2名以上勤務していること

心大血管のリハビリを実施するにあたり、常勤の循環器科または心臓血管外科の医者が勤務していることが条件となっています。

運動器や脳血管のリハビリの場合は実施時間に医師の勤務の条件はありません。心疾患の患者さんは急変するリスクが他の疾患より高いということを考慮してこのような施設基準となっていると思われますが、この点が普及の妨げになっていると思います。

かさけん

回復期リハ病院で心リハをより普及させるためにはこの条件を緩和する働きが必要かもしれません。

また、回復期リハ病院で求められる心リハの内容は以下のように明記されています。

心血管疾患に関するリハビリテーションに関するガイドラインの内容を踏まえ、心肺運動負荷試験を入棟時および入棟後月に1回以上実施することが望ましい。

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)より引用
かさけん

このように定期的に運動耐容能を評価して運動処方を見直して心リハを実施するべきだということがここから読み取れます。

脳卒中と循環器病克服第二次5カ年計画には循環器病患者への心リハとして以下のように記載されています。

急性期病院から回復期病院、かかりつけ医、介護領域に関わる包括的心臓リハビリテーション体制の整備を進める。疾患管理プログラムとして急性期から心リハを開始し、患者個々に適切なゴール設定を行い、回復期維持期にわたって継続することが望ましい。

JCS_five_year_plan_2nd.pdf (j-circ.or.jp)より引用

JCS_five_year_plan_2nd.pdf (j-circ.or.jp) より引用

こちらの図を見て分かるように、もともとADLが十分に自立していた人も、そうでない人も回復期リハビリ病棟での心リハが推奨されていることが分かります。

ADLが低下している人に関しては、歩行能力を向上させるためにリハビリを、ADLが自立している方はCPXを行い、重症化予防、再発予防に向けたリハビリを回復期や地域で実施することが推奨されています。

かさけん

高齢心疾患患者が増加し、回復期リハビリテーション病院で心リハを実施できるようになったことは、これまで外来心リハに通院できないからリハビリを受けられなかった方達への介入が重点的にできるという事です。
制度や人員など様々な問題がありますが、少しずつ改善して回復期リハビリテーション病院での心リハがもっと普及してほしいと思います。

最後に回復期リハ病院に関する本についてご紹介させていただきます。

かさけん

回復期リハ病院で遭遇し、困ることが多い内容について症例をもとに詳しく解説している本です。
基本情報、病態把握、情報収集、リハビリテーションの評価について分かりやすくまとめられています。

次は、腫瘍循環器リハビリテーションについてです。

腫瘍循環器リハビリテーションについて

2021年に改訂された心血管疾患のおけるリハビリテーションに関するガイドライン心疾患合併がん患者に対する項目が新しく追加されていました。

がん、循環器病ともに様々な治療や薬物治療が発達して生命予後が改善しています。その中で、がん患者が心疾患を発症したり、心疾患患者が癌を発症することが増加して、腫瘍循環器学が発展してきました。

僕が腫瘍循環器学について調べているときに、この論文と出会い、改めて腫瘍循環器学は重要だなと感じました。

この論文では、心疾患を既往に持つ早期の乳がんの患者さんでは、乳がんの治療5年経過後頃から乳がんによる死亡リスクより、心疾患による死亡リスクが高くなると報告されています。
がんの再発は防ぐことができたけれど、長生きするためには心疾患をコントロールする必要があるということがここから読み取れます。

最近、多くの病院で「腫瘍循環器外来」を開設している病院が少しずつ増加してきているようです。
どのような患者が対象となるのかというと、がんの治療の経過の中で心不全を発症した患者が対象となるようです。

がんの治療のために使用される抗癌剤が心毒性を持っていて、抗癌剤治療中に心機能が低下した状態をCTRCD(がん治療関連心機能障害)と呼ばれます。

左室駆出率がベースライン(治療前)より10%ポイント低下して50%を下回る状態がCTRCDと定義

①がん治療関連心機能障害(CTRCD)とは – 一般社団法人日本腫瘍循環器学会 (j-onco-cardiology.or.jp) より引用

これまではアントラサイクリン系薬剤やハーセプチン投与患者がCTRCDを発症しやすいと言われていましたが、現在では多くの抗がん剤がCTRCDを発症する可能性があると言われています。

がんリハビリテーションとは、心臓リハビリテーションとはについてまとめた画像

がんの治療中に心機能が低下した患者に対するリハビリを腫瘍循環器リハビリテーション(CORE)と呼びます。がんリハに心リハの要素を加えることによって、がんサバイバーの心肺持久力の向上や心血管病のリスク軽減が期待されています。

COREの具体的な進め方は心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインに明記されています。

JCS2021_Makita.pdf (j-circ.or.jp)より引用

CTRCDを発症しやすい患者(アントラサイクリン系薬剤やハーセプチン投与患者、高線量放射線療法を実施ている患者)に対して、心肺運動負荷試験や6分間歩行試験などにより安全性を評価し運動処方を行い、運動療法を実施していきます。

つまり、心機能が低下しているがん患者において運動耐容能が低下しない、もしくは心不全を発症させないように運動療法だけでなく包括的なかかわりをすることがCOREということになると思います。

また従来の心リハのリスク評価に加えて、がん特有のリスクを評価する必要があります。

  • 血清(白血球、血小板など)
  • 臨床症状(嘔気、見当識障害、めまいなど)
  • がん治療関連(感染症、代謝異常リンパ浮腫、心身障害、術後創部治療状態、骨転移など)
かさけん

腫瘍循環器学腫瘍循環器リハビリテーションは、今後間違いなく普及してくる分野だと思います。
がんの再発は防げたけど、心不全になってしまったという人を少しでも減らせるような取り組みを行う必要があると思います。
また、1つの診療科だけではできない分野で病院全体となって取り組まなければいけない領域だと思いました。

最後に腫瘍循環器学、腫瘍循環器リハビリテーションに関する学会とおすすめ本のご紹介させていただきます。

かさけん

日本腫瘍循環器学会はがん患者の生命予後の延伸とQOL改善を目標に設立された学会です。

日本腫瘍循環器学会のホームページでは学術大会の案内だけでなく、教育webセミナーが無料で視聴できます。がんに関連する心血管の基本的な知識、心毒性のある薬について、検査についてと数多くの内容を視聴することができ、大変勉強になる学会です。

かさけん

日本腫瘍循環器学会が編集した医療従事者向けのテキストとなっています。
がん治療の心血管への毒性、その対応に関する知識や方法が分かりやすくまとめられています。また、様々な検査やCOREについても記載されています。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。
第28回日本心臓リハビリテーション学会学術集会に参加して気になった内容について紹介しました。

最新の知見や現場で困っていることについてシンポジウムが組まれることが多いので、学会のタイムテーブルを見れば学会が今後どのような所に力を入れていきたいのかが読み取れると思います。

また、自分が普段行っている内容がこれで良いのかと学会参加後はいつも考えさせられ、また明日から頑張ろうとモチベーションが上がります。これからも参加した学会で気になった内容をまとめていきたいと思います。

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